【監査法人分析】大手監査法人比較~業務及び財産の状況に関する説明書類~
みなさんこんにちは。
前回は監査法人のクライアント力についてみていきました。今日は、大手監査法人の「業務及び財産の状況に関する説明資料」についてみていきたいと思います。
この記事を読むと、以下について理解することが可能です。
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コンテンツ
業務及び財産の状況に関する説明資料
監査法人版の計算書類
「業務及び財産の状況に関する説明資料」とは、監査法人の計算書類だと思ってもらえればよいと思います。
そこには、監査法人の各種定性、定量情報が記載されており、その中でもメインが貸借対照表、損益計算書になります。
なので、公認会計士や、経理に関する知見を持った方であれば十分に理解可能だと思いますし、内容自体も複雑なものではありません。 今日は、各法人の2019年度から2021年度の資料を用いて、それぞれの特徴などを探っていきたいと思います。
当分析の限界について
最初に、このページにおける分析の限界について念のため記載しておきます。
まず、分析にあたっては、いくつかの項目のみを抜粋して載せておりますので、こちらをとっかかりとして、ぜひ皆さんでも気になったところは実際の原本をご覧になっていってください。
また、開示されている情報の粒度もある程度荒いものになってしまうので、あくまで各法人の傾向(施策やその結果)などををつかむといたところで利用いただければと思います。
こちらはあくまで決算数値過去情報になるので、監査法人の将来性などを知りたい場合、「品質管理報告書」も一緒にご覧いただければと思いますので、その場合にはこちらの記事をご参照ください。
入手情報について
今回利用しているデータについては、各法人のホームページから取得しております。
こちらにリンクを記載しておりますので、ご興味のある方はご自身でご覧ください。少なくとも自身の行きたい法人の情報はご覧ください。
監査法人の売上、利益、業務の構造
まずは全般的に、ここでは売上、利益、業務の構造についてみていきましょう。
売上について
こちらは、各社の売り上げの規模を監査証明業務及び非監査証明業務それぞれで総額及び割合を示したものになります。
監査報酬という意味ではなんとなく皆さんイメージを持たれているかと思うので、割合に着目すると、 EY⇒KPMG⇒Deloite⇒PwCの順で非監査証明業務の割合が高くなってきております。
PwCですと、ほぼ半分が非監査証明業務という結果になりました。 また、Deloitteについては、非監査の増加を背景として、法人としての収益規模が頭一つ抜け出している状況になったようです。
利益について
続いて、利益水準(経常利益及び当期純利益)についてみていきましょう。
各社でブレがあるのですが、特に大手3社については大きな違いとまではなっていないようです。
特筆すべきは、規模は小さいながらも、しっかりと収益を稼いでいるPwCではないでしょうか。
どうしても監査業務よりも、非監査業務のほうが収益率は高くなってくるので、その傾向が表れたのではないかなと思います。
業務構造について
続いて、各法人の業務構造についてみていきたいと思います。 こちらは、左が各年度ごと業務受注数、右がその割合になっています。
先ほどまでの結果と少し重複してしまいますが、やはりトーマツ及びPwCでは、業務構造として非監査の割合が高くなっているので、もしそのような業務を希望されている方としてはチャンスが広がるのではないでしょうか。
一方で全体的な傾向としてどの法人も業務受注数は減少傾向にあると思います。 おそらくどの法人も人不足に悩みながら、業務の取捨選択をして、利益率の低いものは捨て、既存のクライアントには値上げを要求することで、最終的な売上高については増加させているものと思われます。
それでは、次のページでは、監査法人の「人」に対する投資の観点で見ていきたいと思います。
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